2024年6月2日の「ザ・ノンフィクション」で、ある女性が安楽死を選択し、夫とともにスイスに渡るとうドキュメント放送されました。
その女性の名前はマユミさん。病名は子宮頸がんの末期。年齢は44歳。
高校3年生と小学6年生の2人の女の子をもつお母さんということで、放送前からとても大きな反響がありました。
子どもをもつ若いお母さんがスイスで安楽死を選択…?と、私自身もとても驚きました。
もしも本当に耐えがたい苦痛を伴う病に侵されてしまったときに安楽死という選択肢があることは心強いと思いました。
そこで疑問に思ったのは、費用はどのくらいかかるのだろうか、英語力は必要なのかということ。
今回は「スイスで日本人が安楽死を遂げるための費用」「スイスでの安楽死に英語力は必要か」について紹介します。
- スイスでの安楽死の費用や必要な英語力について知りたい
スイスで安楽死を選ぶ日本人

耐えがたい身体的苦痛で苦しみながらも治療法がなく死期が迫っている方で、死を強く望んでいる方の中には、安楽死を希望する方がいます。
しかし、現在の日本では安楽死は法律で認められていません。
世界の一部の国では安楽死が認められています。
安楽死が認められている国は、スイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、アメリカの一部の州、カナダです。
世界で安楽死が認められている6か国の中で、外国人が安楽死をできる国はスイスのみ。
つまり、日本人が安楽死を遂げられる場所は世界中でスイスだけなのです。
スイスで安楽死を選択するまで
神戸大学建築学科卒業後、就職。
職場でご主人と出会い、24歳で結婚。
2人の女の子をもうける。
マユミさんは41歳の時に子宮頸がんが見つかりました。
悪性度の高いがんだと知らされていましたが、マユミさんは生きることに一生懸命でした。
効果のある治療法を探し模索する日々。
手術、化学療法、放射線療法にて懸命に治療を続けてきたにもかかわらず、がんは全身に広がっていきました。
日本の在宅医療や緩和ケアなどについてもよく調べて実際に足を運んでいましたが、失望されているようすがXのポストに残されています。
がんが脳に転移したことが分かったことをきっかけに、1年前から考えて準備をしていた安楽死を決意。
2023年11月9日にスイスにご主人と渡り、スマーフォン越しに2人の娘さんに見守られながら永眠されました。
マユミさんは生きるために辛い治療にも耐え、日本での在宅医療や緩和ケアも検討していましたが、最終的に選択したのはスイスでの安楽死だったのです。
スイスで安楽死をする費用

安楽死を行う団体
スイスには安楽死を行う団体が複数あります。
それらの中で外国人を受け入れているのは、主に「ディグニタス」と「ライフサークル」という2つの団体です。
マユミさんはライフサークルを利用されていました。
実際に安楽死を遂げる1年前にライフサークルにメールを送り、安楽死を希望する意思を伝えるメールや診断書を送り、許可を得ていたとのことです。
「次に癌が再発したら安楽死を望みます」と事前にライフサークルに伝えていました。
安楽死を遂げる3週間前に頭部へのがんが見つかり、安楽死を決意しライフサークルに意思を伝えたそうです。
因みに、脚本家の故橋田寿賀子さん、高須クリニック院長の高須克弥さんはディグニタスに登録しています(していました)。
安楽死の費用
スイスでの外国人の安楽死の費用は、数年前までは旅費を含めて約150万円~200万円といわれていましたが、昨今の円安と物価高の影響で現在は約200~250万円になるといわれています。
渡航費と宿泊費 数十万円
安楽死を受け入れる団体の会費 年間45ユーロ
診断書などの調査料 2700ユーロ
スイス人医師2人の直接診察料 900ユーロ
自殺ほう助 2700ユーロ
スイスでの安楽死に英語力は必要か
こちらはマユミさんが安楽死を遂げる前に、Xに残した最後のメッセージです。
ドキュメンタリー番組内でも、通訳の日本人の方が医師との面談に同席されていました。
スイスでの安楽死について恐らく多くの方が誤解していることが1点。
— めいしー (@mahomelc) November 9, 2023
それは語学力は必須でないということ。
通訳ぜんぜん問題なし。(私も同席してもらった)
これを本当に必要としている人で語学要件がハードルになっている方へ正しい情報が届きますように
スイスでの安楽死の方法

ベッドの横には点滴が用意されています。
点滴の中には死に至る薬剤が注入されています。
医師が安楽死を希望する方の身体に点滴をつなぎます。
最後は本人がクレンメを自ら操作して開通させる方法で、点滴を開始します。
そして眠るように死に至ります。
スイスでの安楽死を選んだ日本人

44歳の女性 病名は子宮頸がん
2024年6月2日放送のザ・ノンフィクションで紹介されたマユミさんはこちらの女性です。
【安楽死選んだ女性 娘思い前夜に涙】https://t.co/NwyqHJ2HDY
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) June 2, 2024
64歳女性 病名はパーキンソン病
こちらの女性も過去に取材を受けています。
パーキンソン病を患う女性のスイスでの安楽死
— リオぺ (@graynoanatomy_) March 18, 2024
日本で認められていたらもう少し生きられたかもしれない
結果的に死を早めることになったし本当にこの医師の言葉に尽きる
難病で苦しむ人にとって安楽死という選択があることは生きる希望でもあると思うよ pic.twitter.com/oS3OYxRDOk
スイスの安楽死に関連する本

筆者である宮下洋一氏が、実際にスイスの安楽死団体で「その瞬間」に立ち会い、またアメリカやオランダなど6か国を巡り医師や遺族を話を交わすなかで、死に対する考えを深めていくるポタージュの本を紹介します。
ライフサークル代表のエリカ・プライシック医師にも取材されています。
安楽死を遂げるまで
スイスでの安楽死について まとめ

世界で安楽死を認めている国は6か国。
その中で外国人の安楽死を受け入れている国はスイスのみです。
日本人が安楽死を望んだ場合に、受け入れてもらえるのはスイスしかありません。
その費用は、旅費を含め150万円~200万円ほどと言われています。
英語力に関しては、通訳の方がいて下さるので心配はないそうです。
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